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もっとも平穏な黒猫の飼い方。

  日々つれづれ嘘日記、+α。

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 天寿のピンポイントの中点をさす待ち針というのが売られている。
 小さなピンク色の、虫のたまごみたいな待ち針の頭をもち、利き手で地面に対して垂直に保持して、すっと指を離す、
 落ちて刺さったその場から自分の影のはじまりまでの距離が、天寿の中点である。
 わたしは、なんと、60歳と四か月くらいだった。
「それって、ぎゃくに、おそろしいわね」
 では天寿はギネス記録には及ばない程度ですねと真顔で売り子に云われてすごすご帰ってきたわたしは、ダイニングテーブルでまちうけていた春菜子さんにも真顔で言われる。
「だって定年退職してもまだ、今まで生きてきたと同じだけの人生が残ってるんでしょ。おおこわ」
「春菜子さんは中点どこなの」
 わたしが聞くと、春菜子さんは片眉をくいっと持ち上げて、
「七歳に二か月足らず、くらいだったかなあ」
 と、にやにやしていう。
「えっ。え、春菜子さん、じゃあ、もうすぐ死ぬの」
 わたしがおろおろすると、春菜子さんはおもしろそうに口の端をひいた。
「何言ってるの。もう四、五日過ぎてるわよ」
「ええっ。え、え」
「わたし、天寿を全うしても、きっとそれ以外のものをつかって生き延びるって分かってたわ」
 春菜子さんはあくまでにもやにや笑いながら、やさしい目をしてうそぶく。



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